内観療法には1週間研修所や病院などにこもって集中的に行う「集中内観」や、日常生活の中で短時間行う「日常内観」という形態があります。さらに2泊3日の「短期内観」や、他の研修プログラムの中で数時間の集団内観や記録内観など、さまざまな方法が開発されています。
ここでは内観療法の基本である集中内観について、私たちの奈良内観研修所を例にして紹介しましょう。

内観の実施状況

場所的条件

研修生(内観する人)は研修所の静かな個室にこもります。そこは仕事や勉強や遊びな どの日常生活から離れて、落ち着いて自己を見つめることのできる保護された空間です。
食事も自室でとり、たとえ親子や夫婦であろうとも、他の人と話すことはできません。研修中は携帯電話を預からせていただきます。静かに内観に専念します。研修所には厳粛な雰囲気がただよっています。

身体的条件

内観中は座禅のような特殊な座り方や姿勢をとらないで、楽な姿勢で座ります。足腰が痛ければ、イスを使うこともできます。3度の食事、面接、入浴、就寝という規則正しい生活は生理的リズムを調整し、心身によい影響を与えます。不眠が解消したり、胃腸の調子が改善する例がよくみられます。全館禁煙ですから、ご協力をお願いします。

時間的条件

第1日目(普通は日曜日)の午後2時に集合して、内観の仕方や研修所での過ごし方の説明を受けます。その後、研修生は各自の部屋に入って内観を始めます。翌日からは午前6時に起床し、洗面や清掃の後、6時半から午後9時までの約16時間内観に専念します。7日目は午前6時半から終了の座談会があり、午前8時に解散します。

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内観のテーマ

どのような目的で内観する人も、無理のない限り母親(または母親代わりの人)に対する自分を以下の3つのテーマに沿って具体的な事実を調べます。

  • a.世話になったこと
  • b.して返したこと
  • c.迷惑をかけたこと

このテーマの設定が内観療法の特長ですが、このテーマにそって自己の内面を見つめることを「内観」とか、「内観する」といいます。
調べるのは年代順で、小学校3年まで、次は6年まで、その次は中学時代……というように年齢を区切って、過去から現在までを調べていきます。 母親に対する内観が済めば、父親、配偶者、友人、職場の人々など身近な人に対して同様の視点から調べていきます。例えば、配偶者との関係の改善を目的に来られた場合は、母親、父親、配偶者などのテーマを繰り返し調べます。何度も調べていくと、生き生きと感情を伴って思い出せるよう になり、新たな洞察が生まれ、相手の身になって自己や相手のことが理解できるようになります。

面接

面接者は1~2時間毎に1回3~5分、研修生の部屋を訪れます。研修生は内観した結果のエッセンス(要点)を報告します。面接者は研修生の語ることに共感的受容的に傾聴し、抽象的なら具体的に語るように求め、質問に誠実に答え、熱心に内観を続けるように励まし、丁寧に礼をして辞去します。このような面接が1日約8回あります。

内観療法では他の精神療法と異なり、面接者と研修生との対話を軸にして治療が進展するのではありません。1日16時間のうち、面接は1回について3~5分で、8回の面接時間の総計は約1時間です。それ以外の時間は、研修生はひとり静かに内観のテーマに没頭し、自己との対話を進めていきます。心の中の母や父や配偶者と対話し、そこでさまざまな洞察を得ていますから、内観は自分の力で自分を治す自己治療的色彩が強い心理療法と言えるでしょう。内観療法の効果は面接者の力量よりも、研修生がどのように内観するかにかかっています。

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内観の効果

内観の結果、親をはじめ周囲の人々からの愛情を再体験して基本的信頼感や基本的安定感が出現し、自己中心性を自覚し、自己の責任を受け容れ、共感性が向上し、人生への意欲が高まります。さらに、自己像や両親をはじめとする他者像が改善され、ありのままの自己像や他者像に近づき、自他を受容できるようになり、連帯感が強化されます。また内観は人生の意義を再構築し、人生に新たな意味をもたらす契機となります。

また、自己中心的な見方から解放されて、多様な視点が獲得され、人間や事象を多面的に理解したり、過去から現在までの歴史的な見方で理解できるようになり、表層的な理解からもっと深層まで理解しようという姿勢が生まれます。現実的で柔軟な視点が確保できるといえましょう。

これらの結果として、さまざまな症状が軽減したり、問題解決の糸口が発見されたり、問題行動が減少するのではないかと思われます。

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