学校教育での応用

中学校や高等学校から紹介されて、問題行動や症状の解決のために親子で内観研修所に来られています。しかし、とくに大きな問題をもたない普通の生徒たちに対してはどのようにすればいいのでしょうか?それにはいくつかの方法が考えられています。

・オリエンテーション合宿での短時間の内観研修

某高校で新入生のオリエンテーション合宿(2泊3日)があり、筆者(三木善彦)が内観に関して1時間講義した後、270名余の生徒に10分間の内観をしました。
ある生徒はその経験を、「お母さんに対して内観していくと、涙が止まらなくなりました。『お母さんはこんなに苦労していたんだ、つらかっただろうな』という思いがあふれてきました」と記しています。

・学校行事としての4時間の内観研修

宮朝子先生は中学校で1日2時間ずつ2日間で計4時間、教室や講堂で生徒に内観をさせました。ひとりの生徒(中1)の感想は次の通りです。
「最初はどんなことをするのだろうと少し不安でしたが、実際にやってみると、両親に何もかもお世話になり、先生にもいろいろと迷惑をかけていたり、教えていただいたこと、叱られたことが噴水のようにどんどんと思い出されました。あらためて、感謝の心が、こみ上げてきました。そして不思議と気持ちが安らぎました」
(宮 朝子「女子中学生に対する集団内観の試み」月刊『生徒指導』1985年11月号)

・ホームルームでの3分間内観

わずか3分間の内観でも持続すると大きな成果をもたらします。原田小夜子先生は高校での実践を、次のように述べています。

「最近、年を追って生徒の学習意欲が低下しています。常に教室内が騒がしく、朝のホームルームの時間にも、連絡事項を伝えるのにいちいち大声を張り上げる有様です。注意力が散漫で、話を聞かない生徒たちが多く対処法を考えていました。そこで集中力を増大し、感受性を豊かにし、さらに生徒たちの持っている潜在的な能力を引き出すための心理的手法として、“3分内観”の実施を試みたのです。毎朝のホームルーム時の内観を約半年間継続しました。その結果、生徒たちの表情は次第に穏やかになり、素直さが感じられるようになりました。もちろん、朝のホームルームの時間も静かになり、以前のように大声を張り上げる必要がなくなりました。さらにクラスがまとまり、秋の運動会で学年2位、合唱コンクールで学年2位、作文コンクールでは金賞・銀賞の大半を獲得することができました」

そして、卒業式の当日のホームルームで生徒たちは、原田先生に記念品と花束と歌を贈呈し、感謝の意を表したそうです。
「これは私の過去20年間の教員生活の中で、最も感動的な一瞬であった」と先生は語っています。(原田小夜子「ショート・ホームルームでの内観の試み」月刊『生徒指導』1985年11月号)
このように、内観によって生徒たちは情緒的に安定し、クラスの仲間との連帯感を呼び起こし、勉強やさまざまな活動への意欲を高めることを示しています。(ロングホームルームなどで生徒に内観をさせる手順は、飯野哲郎「内観」、国分康孝監修『エンカウンターで学級が変わるPart2中学校編』図書文化、1998年が役立つでしょう。)

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記録内観

筆者(三木義彦)は大学の心理学の授業でレポートとして、自宅で短時間内観した結果を記録して報告させることがあります。ある大学生は次のように記していました。

・お世話になったこと:
親と離れて生活しているので今までの人生ではなかった経験をしています。大学まで行かせてもらった母には、大変感謝しています。月々の生活援助(食糧など)はとても助かっています。
・して返したこと:
大学に入って母と離れて生活してみると、親の大切さがしみじみと感じられることがあります。今まで母の日には、照れくさくてプレゼントなどしませんでしたが、バイトで貯めたお金で夏用のハンドバックを買ってあげました。
・迷惑をかけたこと:
毎月のバイト代はほとんど車の費用に代わっていき、始めのうちは母に迷惑をかけていました。生活を共にしていないので、目に見える心配はないようですが、私の食生活などいろいろと心配してくれているようです。

小学校時代から現在までの記録内観をした感想を、彼は次のように記しています。「母に対する気持ちや考えが、自分自身の中に確実に残されていくのを感じました。苦労をかけている母に対して、『申し訳ないなあ』という気持ちと『がんばろう』という気持ちになれただけでも、うれしく思います。この経験をこれからの長い人生に少しでも役立たせたいと思います。」(記録内観の方法については三木善彦・潤子著『内観ワーク』を参照)

このように学校教育に内観法を導入する工夫はいろいろあります。小学生に対しても、工夫すればできます。最近(2003年) 小中学校で内観を実践する手引き書、石井光編著『子どもが優しくなる秘けつ・・3つの質問(内観)で心を育む・・』教育出版が発行されました。ぜひ読んで実行していただければと思います。

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