うつ状態の会社員

内観者:うつ状態の会社員
公治さん(仮名) – 会社員

内観するまで

ビジネスマンも時には仕事や人間関係に疲れて、ノイローゼになることがあります。公治さん(仮名)は上司とのトラブルをきっかけに無気力になり、2か月前から出勤できなくなり、精神科医からすすめられて研修に来られました。

研修所にはうつ状態の方が、時々紹介されます。自責感が強く自殺企図などがあって危険な場合は研修を引受けません。薬物治療でそれらが軽くなり、ある程度、自分自身を見つめる力があれば、家族の協力を得て研修を承諾しています。公治さんの内観を紹介しましょう。

内観の様子(公治さんの内観研修日記より抜粋)

<1日目>
母に対する内観をしたが、なかなか集中できない。ハッと気がついたときには全然違うことを考えていたりする。また、せっかく思い出しても、いつ頃のことだったか、どんな内容だったか具体的に思い出せない。とくに「迷惑をかけたこと」がなかなか思い出せない。
<2日目>
今日は父に対する内観が主だった。内観する前は、あんなに腹の立つ、人の気持ちを理解しない、お金第一主義、文句ばかりいつも言っている父を大嫌いだった。しかし、内観していくと、子供の頃プラモデルや超合金のおもちゃを買ってもらったり、お小遣いやお年玉を与えてくれたことから、あんなに大事にしていたお金を僕ら子どもにもちゃんと与えてくれていたんだな、僕らにもちゃんと愛情を与えてくれていたんだなと感じた。
また一緒に野球をしたことも思い出し、私たち子供を愛していなかったわけではないと感じました。
<3日目>
友だちに対する内観では、私は友だちがいないと悩んでいましたが、実は私は多くの友だちの友情に触れながら、それを信じられず、自分からその友だちを遠避けるようになってしまったのではないだろうか?友情を与えてもらいながら、それに気づかず、自分で勝手に孤立しているような、そんな節があるように思えた。
<4日目>
上司に対して内観すると、父の時と同じように、あんなこともしてもらった、こんなこともしてもらったというのを思い出し、上司に対する憎しみのようなものはなくなった。
<6日目>
6日間の内観を体験して、僕の感じたことの一つは、出勤拒否症で悩んでいたが、自分の心の中に「怠けたい」という非常に醜(みにく)く、自分でも認めたくないような気持ちがあることに気がついた。
<内観2ヵ月後の様子>
内観2か月後、公治さんからは「現在は元気に出勤し、苦手だった上司とも上手に付き合っている。最近では一緒に酒を飲むような仲になった」と、報告してきました。

上司との不和の背景には、父親との不和がありました。しかし、内観によって父親から世話になったエピソードをいくつも思い出し、父親像を好転させます。上司に対しても、同様に世話になったことを思い出し、恨みを解消して行きました。また、友だちとの関係でも、人間不信があって、自分から孤立していったことに気づきます。それらのことを自覚した結果、上司にも自分から積極的に近づいていこうという意欲が出てきたのでしよう。さらに出勤拒否の背後にあった“怠け”心も認めることができ、恥ずかしくなって、自分を取り戻し、出勤できるようになったのでしょう。

内観の効果でよく見られることは、対人関係の好転です。世話になったことを明確に意識し、自分の問題点に目を向けるのですから、そうなって当然のことのようですが、いったん相手に否定的感情を抱いてしまうと、なかなか肯定的になれないのが普通ですから、公治さんの変化は大きいと言わざるをえません。

ちょっと上手く行き過ぎたような事例ですが、内観でうつ状態が好転したという例は少なくありません。もちろん、あまりに重症で、自責感情が強く、思考がうまく働かない人は内観もできませんから、まずは薬物療法や心身のエネルギーを充電するために、しばらく休養することが大切です。また、内観で好転しても油断せずに、医師の指導を受け服薬したり、必要に応じてカウンセリングを受けることも大切です。

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